2 優しい幼馴染み

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 二人がここへ来たのは、セレステが待ち合わせ場所に図書館を指定したからだとわかった。    ――どうして、図書館で待ち合わせを?  私の勉強時間だとセレステは知っている。  午前はセレステ、午後は私に図書館の使用時間を割り振られているのだ。  待ち合わせなら、他の場所にしてくれたらいいのに…… 「ルナリア。今日は真面目に勉強していたようだね」  いい子だねと、フリアンが私の頭をなでる。  レジェスが私の読んでいた本を手に取り、不思議そうな顔をした。  「マーレア諸島の言語に興味があるのか。それから、農業と政治? 早すぎないか?」 「えっ、えっと……文字! 文字のお勉強なの!」 「ふうん? まあいいが、俺は全部覚えているから、わからないことがあれば聞け」  ――レジェスはこれを全部覚えてるの!?  レジェスはまだ十二歳。  小説にもレジェス王子は優秀だと書いてあったけど、ここまで高く能力が設定されているとは思わなかった。  なぜなら、マーレア諸島の言語は島々によって違い、すべての言語を使える人間は少ない。  オルテンシア王国の教養人たちも二つ三つが限界である。
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