16 いつか言えたら

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 そこから先、フリアンがなんと言ったか聞こえなかった。  部屋の前で待っていたティアの声によって、打ち消されたからだ。 「ルナリア様っ! どちらにいたのですか!? ティアがどれだけ心配したかっ!」 「ティア……あの、その……」 「言い訳は聞きません! まあっ! こんな泥だらけになって! 頭に葉っぱをつけてるじゃありませんかっ!」    ――一番怖いのはティアかもしれない。  夜中だったにも関わらず、ティアはお湯を調達し、私の手足や顔を洗って、寝間着を着替えさせた。  もちろん、その間中、お説教が続いていたけれど、疲れた私はうとうとしながら聞いていた。  私がベッドに放り込まれた後もレジェスは部屋に戻らず、どこへ行ったのかなと思いながら、睡魔に負けて眠ってしまったのだった。
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