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昨晩、あんな騒ぎがあったのに、アギラカリサ王宮は平和そのもの。
平穏を装い、何事もなかったかのように誰もが振る舞う。
それが、とても不気味だった。
私が目覚めたのは昼過ぎで、レジェスもフリオンも夜のパーティーの身支度をするとかで、すでに二人は部屋にいない。
「うぅ……眠い……」
「当り前です! 昨晩、あれほど大騒ぎしたのですからね!」
昨晩、眠ったのが遅かったからか、まだ眠くて仕方ない。
子供の体で夜更かしは厳禁だ。
わかってるのに、夜更かしはやめられないのよね……いくつになっても。
「大人びていらっしゃるから、部屋を無断で抜け出すなんて軽率な真似をなさらないと思っていたのに! どれだけ私が心配したかわかりますか?」
起きてもティアのお説教は続いていた。
「ご、ごめんなさい……」
もう百回くらい『ごめんなさい』を言ったような気がする。
「ルナリア様! 大変です!」
ティアの声に負けないくらいの声で、侍女が飛び込んできた。
「えっ? なにがあったの? 毒殺事件とか? それとも王子同士の殺し合い?」
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