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パーティーだからか、レジェスは正装をしており、髪に模様入りの布を巻いてアクセサリーはいつもより多めにつけている。
「レジェス様、素敵なドレスをありがとうございました」
「今日のパーティーは、ルナリアにとって、アギラカリサ社交界にデビューする大切な日だ。古いドレスというのもな」
「社交界デビュー……」
小説『二番目の姫』でルナリアの社交界デビューは十六歳と決まっていた。
そして、それはフリアンとの婚約発表の場でもあった。
「ルナリア?」
「あ、いえっ! 私が社交界にデビューするのは、もっと先だと思っていましたから……」
少しでも変化があればいい。私の行動で未来を変えられると信じたい。
「こんな綺麗なドレスを贈っていただけて、とても嬉しいです」
明るく言った私に、レジェスは紫色の瞳を細め、微笑んだ。
「それでエスコートだが――」
「エスコートは僕がする」
レジェスの言葉を遮って、現れたのはフリアンだった。
フリアンは白の上着に銀糸と銀のボタン、白の手袋をはめ、まさに王子様。
――うっ! 眩しい! これはアギラカリサの令嬢が放っておかないと思うわ。
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