17 初めてのエスコート

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 これが王子様のような容姿という設定の力!  物語の力の恐ろしさを思いしらされるわ…… 「おい、フリアン。今のお前は護衛騎士だろ?」 「もうレジェスの兄上たちに正体がバレてる。だから、僕でもいいはずだよ」  珍しくレジェスがムッとしているだけでなく、フリアンもどこかトゲトゲしい。  ――この二人もこんな子供みたいにケンカすることがあるのね。    そう思って笑っていると、二人の視線は私に注がれた。 「え?」  無言で二人は私に圧をかけている。  これってつまり―― 『どちらにエスコートされたい?』  ――私に選べってこと!?  こんな乙女ゲームのような展開が訪れるとは思わなかった。  小説『二番目の姫』において、ルナリアの社交界デビューといえば、みんなの前で派手に婚約宣言をして、すぐに婚約破棄される流れ。  そして、そこからの暗殺疑惑で牢屋にポイッである。  そして、闇の力の解放で死……こんなドキドキイベントなんか用意されてないはずだった。 「あ、あの、その……」  ――どっちを選んでもカドが立つでしょ!?
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