17 初めてのエスコート

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 私が喜ぶどころか怯えていると、ティアが盛大なため息をついた。 「お二人がそんな険悪なムードになるのでしたら、エスコートはシモン先生にお任せします」 「なぜだ!?」 「どうして!?」  ティアの一言にレジェスとフリアンが同時に叫んだ。 「はあ……。お二人とも、まだまだお子様ですね」  ティアは二人に冷たい視線を向ける。  この二人をお子様呼ばわりできるのは、ティアだけだと思う。 「ルナリア様は十二歳。優雅に誘われ、『わぁ~! パーティーってこんなに素敵なのね!』と、思っていただかねばなりません。このままだと、パーティー嫌いになって図書館にこもりかねませんわ」  私の真似が予想以上に上手だったティア。  びっくりしたけど、レジェスとフリアンは納得してくれたみたいだ。 「く……。たしかにそうだ。最初が肝心だからな」 「レジェス。女の子の夢を壊しちゃ駄目だよね? だったら、君は遠慮した方がいい」  フリアンはぽんっとレジェスの肩を叩いた。 「レジェスはセレステ様の婚約者候補として名前が上がっている。もし、セレステ様が先にルナリアのエスコートをしたと知ったら面倒なことになる」
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