2 優しい幼馴染み

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 でも、私がこの大変な言語を選んだのには理由があった。  マーレア諸島は島々からなる連合国である。  連合国のトップは二年ごとに交代し、話す言葉が違ってくる。  資源が多いマーレア諸島と取引したい国は多い。  けれど、言葉の壁がある。  ――レジェスはマーレア諸島に目を付けているようね。さすが大国アギラカリサの王子だけあって、金の匂いには敏感……じゃなくて、経済にも詳しいみたい。  マーレア諸島でしか手に入らないスパイスと茶葉、安価で良質な綿花、資源があり、まさに金がなる島々。  物語ではちょろっとしか出てこないマーレア諸島だけど、『交易が盛んなマーレア諸島連合国』と書いてあったのを覚えている。  今から数年後、マーレア諸島連合国は間違いなく、重要な国になってくる! 「レジェス様、よろしくお願いします」  世界は現在進行形で動いていて、王宮で過ごす五歳児の私が手に入れられる情報は限られている。  十二歳にして、国外を行き来するレジェスから得られる情報は貴重だ。  今後もよろしくという意味で、私がスッと手を差し出すと、レジェスは変な顔をした。 「かしこまってどうした?」
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