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厳しい領地の南方アレナ。それが、王よりレジェスが与えられた領地だ。
――でも、レジェスが治めるようになってから、大きな争いがなくなったとシモン先生が言っていたわ。
レジェスが有能なのは、誰の目から見ても明らかだ。
それを認めたくない三人の兄たちは、レジェスを殺してしまおうとしている。
「ねえ、レジェス様にエスコートされている少女は誰……?」
「銀髪の可愛らしいご令嬢ですわね」
「エスコートしている金髪の男性も素敵!」
やっと私とフリアンの存在に気づいてくれたようだ。
どこの国の王女と王子かと、私とフリアンの正体を探る声が飛びかう。
「レジェスが自分の婚約者として連れてきた少女だ」
アギラカリサ王――国王陛下が全員の前で告げると、どよめきが起き、好奇の視線が私に向けられた。
――う、うわぁ……。すごく見られてる!
でも、ここで怖じ気づき、十二歳の子供だと、侮られるわけにはいかない。
「レジェス様の婚約者ですって?」
「まだ、ほんの子供ではありませんか」
「どういうことですの!?」
どれだけ騒がれようが、私は王女らしく振る舞うと決めている。
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