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「アギラカリサ王国の皆様、はじめまして。わたくしはオルテンシア王国第二王女ルナリアと申します」
軽く膝を曲げ、笑顔で挨拶をする。
歓迎の拍手が起き、ホッとしたのは一瞬だけで、レジェスの兄たちから容赦のない言葉が浴びせられた。
「レジェスは幼女趣味だからな」
「ははは。本当に愚かな奴だ」
「父上。レジェスは王になる気がないのですよ」
貴族たちは気まずそうな表情で、レジェスの顔色をうかがう。
この場で兄弟同士の争いが起きれば、せっかくのパーティーは台無しである。
レジェスと兄たちの間に、誰かが割って入らなければ、この重苦しい空気を変えられない気がした。
「恐れながら」
私は三人の王子ではなく、国王陛下に向けて言った。
彼らを黙らせることができるのは、父親の国王陛下のみ。
「私がレジェス様に相応しくないと思われたのであれば、国王陛下が私を王宮前で追い返していたでしょう」
私の発言に大広間が静まり返った。
「知らぬ顔をしていればいいのに……」
「可哀想。兄弟同士の争いに巻き込まれるわよ」
貴族令嬢たちの話し声が聞こえてくる。
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