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同情する声が多く、貴族たちは一様に不安そうな表情を浮かべている。
――レジェス以外の王子が、どれだけ彼らに恐怖を与えているかわかるわ。
重苦しい空気を消したのは、国王陛下の一言だった。
「面白い。なかなか度胸がある王女だ」
余裕のある国王陛下だけが声をたてて笑った。
貴族たちもなんとか笑おうとして、ひきつった笑いを浮かべている。
「その通りだ。王である俺が王宮の出入りを許した。お前たちは黙っていろ」
獣のような鋭い瞳が、三人の王子たちを圧倒する。
国王陛下はアギラカリサ王位継承戦を勝ち抜き、即位した王である。
戦いを制しただけあって、その威圧感は普通じゃない。
――これがアギラカリサの王。
「パーティーを楽しめ。オルテンシアの第二王女」
「ルナリアと申します」
「……ふん。まだ名を覚えるほどでもない」
まだ名前を覚えるだけの価値はない――そう言いたいらしい。
「レジェス。お前が連れてくる人間は、いつも面白い人間ばかりだな。マーレア諸島の人間を王宮に招いた時もそうだ。我が国に大きな利益をもらした」
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