18 社交界デビュー

7/9
前へ
/314ページ
次へ
 いつか必要になる時がきますと言って、侍女たちも一緒になって盛り上がったダンスの練習。  でも、これは練習じゃなくて、ちゃんとした相手がいるダンス。  それも大国アギラカリサの王宮で踊るなんて、思いもしなかった。 「レジェス。ルナリアが困ってる。挨拶だけでじゅうぶんだ。よく頑張ったよ」  私が恥をかくと思ったのか、フリアンが止めた。 「いいえ、フリアン様。私の仕事はこれからです」  フリアンは驚いた顔で私を見る。  二番目の姫と呼ばれ、控えめにしていた私しか知らないフリアン。    ――私がこのままなにもせずにいたら、死ぬかもしれないなんて、誰も知らない。  知っているのは私だけ。   だから、生存するための可能性が、少しでもあるのなら、全力で体当たりするしかない。 「レジェス様。よろしくお願いします!」 「ああ」    気合いを入れた私に、レジェスはなにを思ったのか。頬をつねった。 「れひぇすさま(レジェス様)!?」 「ルナリア。笑え。笑って、今を楽しめ」  私のつねった頬から指を離して、優しく頬をなでた。 「戦うのではなく、楽しむんですか……?」 「そうだ」  
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1227人が本棚に入れています
本棚に追加