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いつか必要になる時がきますと言って、侍女たちも一緒になって盛り上がったダンスの練習。
でも、これは練習じゃなくて、ちゃんとした相手がいるダンス。
それも大国アギラカリサの王宮で踊るなんて、思いもしなかった。
「レジェス。ルナリアが困ってる。挨拶だけでじゅうぶんだ。よく頑張ったよ」
私が恥をかくと思ったのか、フリアンが止めた。
「いいえ、フリアン様。私の仕事はこれからです」
フリアンは驚いた顔で私を見る。
二番目の姫と呼ばれ、控えめにしていた私しか知らないフリアン。
――私がこのままなにもせずにいたら、死ぬかもしれないなんて、誰も知らない。
知っているのは私だけ。
だから、生存するための可能性が、少しでもあるのなら、全力で体当たりするしかない。
「レジェス様。よろしくお願いします!」
「ああ」
気合いを入れた私に、レジェスはなにを思ったのか。頬をつねった。
「れひぇすさま(レジェス様)!?」
「ルナリア。笑え。笑って、今を楽しめ」
私のつねった頬から指を離して、優しく頬をなでた。
「戦うのではなく、楽しむんですか……?」
「そうだ」
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