1227人が本棚に入れています
本棚に追加
今を楽しんでいいのなら、私はレジェスと楽しくダンスを踊りたい。
「よし。緊張してないな?」
「はい」
私の前に差し出された手をとる。
社交界デビューの初めてのダンスをレジェスと踊れるのが嬉しかった。
――本物のお姫様みたい。
音楽隊は私とレジェスを見て微笑み、明るいワルツを奏でた。
「まあ。なんて可愛らしい」
「お人形さんのようね」
「パーティーで、レジェス様が楽しそうにされているのを久しぶりに見ましたわ」
身長が足りなくて、さりげなく背伸びしていると、レジェスが私の体を支え、転ばぬよう上手にリードする。
片手で抱き上げて、くるくる回る。
わぁっと歓声が上がり、大広間が明るくなった。
「レジェス様!」
「ルナリア! しっかり手を握ってないと落ちるぞ!」
無邪気なレジェスに、国王陛下も笑っている。
けれど、私たちがダンスを踊るのを見て、面白くない顔をしていたのはレジェスの兄たちで、こちらに向かって文句を言っていた。
「ふん。子供になにができる」
「小国のオルテンシアなど、我々の道具だ」
その言葉で確信した。
最初のコメントを投稿しよう!