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――やっぱり、オルテンシア王国を利用するつもりでいるんだわ!
レジェスが危惧していたように、マーレア諸島の商品を一気に値上げし、オルテンシア王国から、お金を搾り取れるだけ搾り取る算段でいる。
そして、自分たちの領地を潤し、王位継承戦を優位に進める。
――そんなことさせない!
私に聞こえるように、レジェスの兄たちは大きな声で話す。
「よりにもよって、オルテンシア王国の二番目の姫を選ぶとはな」
「美しく賢いのは一番目の姫だと聞いている。レジェスは連れてくる相手を間違えたのではないか?」
――また二番目。
呪いみたいについてまわる『二番目の姫』の肩書き。
レジェスから手を強く握りしめられて、ハッと我に返った。
「レジェス様……」
「ルナリア。よそ見をすると転ぶぞ」
レジェスの私を支える力が心強い。
「はい!」
それから、私とレジェスはちゃんとしたワルツを踊って終わった。
二曲目が始まった。
次のダンスは別の人と踊るのがマナーである。
私を誘う人はいないと思い、戻ろうとした時――
「ルナリア王女。踊っていただけませんか?」
私に手を差し出したのは、黒髪に褐色の肌をしたエキゾチックな男性で、その顔に見覚えがあった。
――昨日、庭園で会ったマーレア諸島クア族のルオン!
「ルナリア。踊ってこい」
レジェスが私を応援するように、背中を優しく押した。
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