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死なずに幸せになる方法を探しているのは、ルオンも私と同じだ。
『お前に礼を言いたくてダンスに誘った。それで、なにか望みはないか? 宝石でも別荘でも、なんでも買ってやろう』
『では、スパイスと紅茶をいただけませんか?』
私の言葉にルオンは表情をサッと変えた。
そして、ルオンの視線が私から外れ、三人の王子に向けられていた。
――これは、なにかある。オルテンシア王国と取引するなと言われているのかもしれないわ。
計画が失敗しないよう前もって根回しをしてあるのは当然のこと。
だから、ルオンになにを言っていても驚かないけれど、脅しや強請りで動じる性格とは思えない。
ルオンからは、レジェスと同じような空気を感じるからだ。
『ルオン様。難しいでしょうか?』
私が『わかってます』というように、にっこりと微笑むと、ルオンが苦笑した。
『本当に聡い……。俺としてはオルテンシア王国と取引しても構わない。だが、こちらにも色々と問題があってな。……とある連中から、島に家畜を贈られ、ここ数年で家畜が増えた』
家畜が増えることはいいことだ。
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