19 兄たちの卑怯な思惑(1)

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 畑を作るということは、土地も整備され、材木を運ぶ道もできる。  手入れされた島なら、別荘に最適だ。  マーレア諸島の海はエメラルドグリーンで砂浜は白。  そんなところで、のんびりできたら最高だと思う。  ただ開墾から畑を作るまでにも時間がかかるため、本当に利益が出るのはずっと先のことになる。  ルオンがどう判断するか―― 『子供の発想とは思えんな』  ――悪い反応ではなさそう?  私の提案にルオンはにやりと笑う。  その顔はレジェスにどこか似ていた。  私を子供ではなく、対等な立場で接してくれる時のレジェスに。 『私は王女です。今の私はオルテンシア王国の代表としてここにいます』 『たしかにそうだ。失礼した。オルテンシアの国王がルナリア王女をここへやったのもわかる』  ――自分から行くと言ったんですけどね。  そんなことを言えるわけもなく、笑って誤魔化した。 『オルテンシア王国にスパイスと紅茶を融通しよう』 『ありがとうございます!』 『そろそろ会話を止めないと、レジェスが怖い顔をしている』 『え?』  気づけば、ダンスを二曲続けて踊っていた。
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