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二曲目が終った時、背中がとんっとぶつかって、体が大きな手によって受け止められる。
『踊るのは一曲だけだぞ』
『レジェス。俺がお前の婚約者をくどくとでも?』
『違ったか?』
ルオンの想い人をレジェスは知らないようだった。
私に『秘密だ』というように、ルオンはウィンクすると、クア族の言葉からアギラカリサの言葉に切り替えた。
「ルナリア王女。レジェスに飽きたら、いつでも俺のところへ来い。お前ひとりの面倒くらいは見てやれる」
大広間にいる全員に、ルオンが私の味方だと理解させるために、わざとアギラカリサの言葉を使ったのだとわかった。
「今後、ルナリア王女が困った時は、いつでも力を貸そう」
ルオンの言葉は絶大な影響力を持っていた。
全員の私を見る目が、十二歳の子供ではなく、『オルテンシア王国のルナリア王女』として見ているのがわかった。
「ルオン。ダンスは終わりだ。その手を離せ」
レジェスに言われ、ルオンはパッと私から手を離した。
「おっと。レジェスが怒ると面倒だ。俺はオルテンシア王国の文官と詳しい話をする」
「今、ご紹介します!」
「ルナリア様。控えておりましたよ」
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