19 兄たちの卑怯な思惑(1)

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 シモン先生が予想していたのか、すでにそばに立っていた。  そして、ルオンに一礼する。 「文官のシモンと申します」 「私の家庭教師を務めていただいております」  ルオンにシモン先生を紹介する。 「男か? 美しすぎる男だ。アギラカリサの女たちが放っておくまい」  シモン先生のあまりの美しさに、ルオンは目を何度も瞬かせた。  長い銀髪を結び、銀糸の刺繍が見事な上着を身に付けたシモン先生は立派で、アギラカリサ王宮でも目を引く。 「ルオン様。シモン先生は綺麗なだけじゃないんです。とても優秀なんですよ」 「そうだろうな。優秀でなければ、賢いルナリアを教えられない。ああ、ルナリアと呼んでもよかったか?」 「はい。構いません」  私がそう答えたけど、レジェスは怖い顔でルオンを見ていた。   「では、ルオン様。場所を変えて話をしてもよろしいでしょうか?」 「ああ」  シモン先生とルオンは大広間から出ていった。  オルテンシア王国とマーレア諸島への罠が失敗したと気づいたレジェスの兄たちは、険しい顔をし、こちらを見ていた。  まさか私が交渉にきたとは思わず、油断していたのだろう。  
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