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シモン先生が予想していたのか、すでにそばに立っていた。
そして、ルオンに一礼する。
「文官のシモンと申します」
「私の家庭教師を務めていただいております」
ルオンにシモン先生を紹介する。
「男か? 美しすぎる男だ。アギラカリサの女たちが放っておくまい」
シモン先生のあまりの美しさに、ルオンは目を何度も瞬かせた。
長い銀髪を結び、銀糸の刺繍が見事な上着を身に付けたシモン先生は立派で、アギラカリサ王宮でも目を引く。
「ルオン様。シモン先生は綺麗なだけじゃないんです。とても優秀なんですよ」
「そうだろうな。優秀でなければ、賢いルナリアを教えられない。ああ、ルナリアと呼んでもよかったか?」
「はい。構いません」
私がそう答えたけど、レジェスは怖い顔でルオンを見ていた。
「では、ルオン様。場所を変えて話をしてもよろしいでしょうか?」
「ああ」
シモン先生とルオンは大広間から出ていった。
オルテンシア王国とマーレア諸島への罠が失敗したと気づいたレジェスの兄たちは、険しい顔をし、こちらを見ていた。
まさか私が交渉にきたとは思わず、油断していたのだろう。
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