19 兄たちの卑怯な思惑(1)

10/11
前へ
/314ページ
次へ
 ――そうよね。十二歳だし、難しい話をするわけないって普通は思うわよ。  でも、一人だけ違った。 「うまくいってよかったな」 「はい。レジェス様」  レジェスだけは、最初から私ならできると信じていてくれた。   「ルオンには気を付けろ。菓子をやると言ってもついていくなよ?」  ――それって、子供を誘拐する手口なんですけど。  心配してくれるのは嬉しい。  でも、完全に子供扱いである。  それに、レジェスとルオンは友達だと聞いている。 「レジェス様とルオン様は友達ですよね?」 「まあ、そうだな」 「私が誘拐されるようなことはないと思います」 「もっと警戒心を持て!」  そうレジェスが言った瞬間―― 「僕もそう思うよ。アギラカリサ王国は危険だ。レジェスも含めてね」  フリアンがそばにいた。  そして、いつもより緊張感があり、周囲を警戒してピリピリしている。 「俺も仲間に入るのか?」 「ルナリアとダンスを踊ったからね。僕がオルテンシア王から、ルナリアとの婚約を打診されていると知っているくせに、君は本当に自由だな」 「フリアン。俺たちは自由だぞ」
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1244人が本棚に入れています
本棚に追加