19 兄たちの卑怯な思惑(1)

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 レジェスの言葉にフリアンは同意できないと首を横に振った。 「僕は次期公爵で、レジェスは王になる。自由なんかどこにもないんだよ」  責任感が強く、真面目なフリアンと奔放で行動力があるレジェスは真逆で、考え方も正反対だ。 「ルナリア。明日の朝、明るくなったらすぐに立とう。仕返しされる前にアギラカリサ王国を出た方がいい」  ――たしかにそうだわ。三人の王子が数年かけた罠を駄目にしたんだから、私に仕返ししてもおかしくない。このまま、アギラカリサ王国にいるのは危険だわ。  自分の置かれた立場に気づき、フリアンにうなずいた。  マーレア諸島との取引ができるようになり、こちらは目的を果たした。  けれど、レジェスの兄たちはオルテンシア王国からの利益だけでなく、マーレア諸島からの利益も手に入らなくなった。 「オルテンシア王国領まで、責任もって俺が護衛しよう」  「レジェスが来るほうが危険な気がするけど、向こうの手口を知っているからね」 「おい、俺をあいつらの同類みたいに言うな」 「ルナリア。大丈夫だよ。君は僕が守るから」  フリアンはそう言ってくれたけど、このまま無事に私は帰れるだろうか。    ――物語の強制力が働いて、なにか悪いことが起きなければいいけど。  うまくいって嬉しいはずなのに、嫌な予感がして心から喜べなかった。
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