2 優しい幼馴染み

8/8
前へ
/314ページ
次へ
 三人のやり取りを眺めていた乳母と侍女たちは、なんて微笑ましいのかしらと笑っていた。 「ルナリアね、マーレア語を少しだけ読めるよ? これがマーレア語で『馬』、こっちが『魚』」  ただしくはマーレア文字の一種だ。  これが何種類も存在するため、覚えるのが大変なのである。 「そうだ。賢いな」  レジェスが私を褒めてくれたので、にっこり笑顔を見せた。 「じゃあ。これは?」 「え、えーとね……」  文字を読もうとした瞬間―― 「レジェス様、フリアン様。なにをなさっているの?」  優しい声、穏やかな空気、春のようなふわりとした甘い香りに、全員が動きを止め、声がしたほうへ顔を向けた。  現れたのは金髪に青い瞳をした可愛らしい少女―――二番目のルナリアが絶対敵わない相手、一番目の姫セレステだった。  
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1006人が本棚に入れています
本棚に追加