20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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「そうか。では、父上の侍女に案内してもらえるよう頼んでおこう。安心しろ。父上付きの人間に、なにかできる奴はいないからな」 「は、はい……」  旅立つギリギリまで、アギラカリサ王宮は物騒だった。  レジェスが侍女を呼ぶ。  そして、そっと私に耳打ちした。 「おい、ルナリア。父上付きの侍女だが、元は父上の乳母だ。根は優しいが悪さには厳しい。怒らせるなよ?」 「怒らせるようなことはしません……」  いったいなにがあったのか、レジェスの顔は真剣だった。  レジェスでこれなら、兄三人はさらにひどい目にあってそうだ。  呼ばれて現れた姿勢のいい年配女性は、灰色の髪をきっちりまとめ、鋭い青の瞳をしていた。  ――アギラカリサ王を育てただけあって強そう。  ごくりと唾をのみ込んだ。 「オルテンシア王国のルナリアです」 「陛下から聞いております。オルテンシア王国の王女ルナリア様。わたくしが案内役を務めさせていただきます」 「はっ、はいっ!」  厳粛な空気に姿勢をただした。  たとえるなら、厳しい先生のような雰囲気だ。   アギラカリサ王の威圧感とは、また違う威圧感を持っている。
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