20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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「父上の話が終わる頃に迎えにくるからな」  レジェスは侍女に私を任せると、忙しそうに去っていた。  みんな、旅立ちの準備をしていて忙しい。   ティアたちも私のそばを離れ、ドレスや身の回りのものが入った荷物を積み込んでいるところだ。 「では、僭越ながら。わたくしが先導します」 「お願いします」  国王陛下の部屋は遠く、長い廊下が続いた。  廊下には強面の兵士たちが並び、国王を育てたという乳母が通ると頭を下げる。  国王の信頼を得て、敬愛する者だけが護衛を許されているのだとわかる。    ――ものものしい雰囲気だわ。  だらしない兵士は一人もいない。 「どうぞ、こちらへ」  私が案内されたのは国王陛下の私室だった。  侍女に長い黒髪を束ねさせ、お茶を飲んでいる。    ――くつろいでるし、これって完全にプライベートよね。  雰囲気からいって、難しい話をするわけではなさそうだ。 「ルナリア王女がきたか」  ――私の名を呼んだ。  アギラカリサ王宮に訪れた時は、呼んでもらえなかった私の名前。  それを自然に呼んでもらえたのが嬉しくて、にっこり微笑んだ。
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