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『どうやって取引を成立させたか』
でも、それを教えるわけにはいかない。
ルオンが巫女に会おうとしたことがバレてしまうし、私がその場にいたのもわかる。
だから、ここはとぼけるのが一番だ。
「ルオン様はお優しい方ですから、十二歳の女の子が遠い他国まで来て、頼んだので断れなかったみたいです」
笑ってごまかしておいた。
たぶん、疑問は解消されてない。
でも、アギラカリサ王の高いプライドを考えたら、私に『わからないから教えてくれ』とは言わないだろう。
「そうか。十二歳か。お前の将来が楽しみだ」
国王陛下が話している間も、侍女たちは手を止めず、衣服を整える。
重そうな宝石がついたアクセサリーを身に付けていく。
「ありがとうございます。でも、私の力だけではありません。レジェス様が連れてきてくれたからです」
「レジェスは優秀だ」
国王陛下の表情が和らいだ。
四人の息子たちの中で、特にレジェスを気に入っているのがわかる。
侍女たちも微かに笑っていた。
「レジェスは王になるために生まれた。だから、あいつの名は王 と名付けた」
――生まれながらの王。
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