20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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   レジェスの兄たちが凡庸だと判断した王は、レジェスに期待した。  王の名前を持つ弟を兄たちはどう思っただろう。  侍女たちが手を止めたのがわかった。  でも、それは一瞬でじろりとにらまれ、慌てて手を動かす。 「レジェスの妃になるつもりなら、今以上に努力せよ」 「はい。レジェス様の妃になる……妃? 私が妃……?」  言いかけて、ハッと我に返った。  ――あれは王宮に入るための嘘だって気づいているはず!  国王陛下は返答に困る私を見て、悪い顔で笑っていた。 「楽しみにしているぞ」    ――ハメられた気がする。  嘘でしたなんて、私の口から言えるわけない。 「……努力します」 「うむ。下がっていいぞ」  今以上に、私の才能を伸ばすためのプレッシャーをかけ、よりふさわしい妃に育てようという思惑だ。  お辞儀をし、皇帝陛下の私室から出る。 「これって、私が婚約者として、アギラカリサ王から認められたってこと?」  ――レジェスの婚約者。  なんだか、すごく嬉しい。  もちろん、正式なものではないし、なにげなく言っただけかもしれない。   「婚約者……。婚約者だって!」
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