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それなのに頬が緩むのがやめられない。
足取りが軽くなり、うっかりスキップしてしまいそうになった。
さすがに国王陛下の部屋に続く廊下で、スキップはできない。
でも、ふわふわした気持ちで部屋に戻っていく。
「あ……」
――会いたくない人に出会っちゃった。
広い庭園にレジェスの兄たちがいるのが見えた。
美しい女性を大勢連れて歩き、楽しそうにしている。
早朝だからか、今までで一番軽装で、まだ身支度を済ませてないように見える。
レジェスはもう出発して、私を国境まで送ったら領地に戻るというのに大違いだ。
気づかれないよう去ろうと思って、気配を消したつもりが、あっさり見つかってしまった。
「あれは、ルナリア王女じゃないか?」
「父上の部屋がある方から歩いてきたな。父上になんの用だ?」
「おおかた帰国の挨拶だろう」
――う、うわ~! 私のことは無視でいいんですけど!
聞こえないフリをして立ち去りたかったけど、そうもいかない。
どんなに嫌でも、向こうは大国アギラカリサの王子たち。
私から無視はできない。
渋々、近づいて挨拶をする。
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