20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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「国王陛下に帰国の挨拶をしてまいりました。皆様もどうかお元気で……」  さっさと挨拶をして離れるつもりが、私の腕を乱暴につかんだ。  ――ひっ、ひえ!? なに?  とっさに振りほどこうとしたけど、十二歳の私の力じゃ、びくともしない。 「放してください!」 「帰る前に庭の池で朝食でもどうだ?」 「今から俺たちは船の上で朝食をとる」 「少し付き合え」  大きな庭園――というより森である。  木々に囲まれた庭に小さな人工池があり、その池には船を浮かべて遊ぶことができるようになっていた。  ――贅沢。この庭だけでオルテンシア王宮くらいあるんじゃないかしら。  船に乗って朝食は素敵だけど、このメンバーで『楽しく食事』なんて想像もつかない。  それに、私が嫌がっているのがわかるくせに、船までずるずる引きずっていく。 「もう出発の時間ですから困ります!」  拒否すると、三人から怖い顔でにらまれた。 「まさかアギラカリサの王子の誘いを断るのか?」 「さっさと船に乗れ」 「俺たちが朝食に付き合えと言っているんだ。それがどんな光栄なことかわからないのか?」
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