1257人が本棚に入れています
本棚に追加
船はひとつだけでなく、一人一人の王子に用意されていた。
王子たちは船の上に用意されたお茶や食べ物を口にし、美しい女性とイチャイチャする。
私なんて必要ないように思えた。
――私を船に乗せて、なにを考えてるの?
「父上となにを話した?」
一緒に船に乗っているのは、第一王子ライネリオ。
第二王子エミディオと第三王子バルデスは、そばに船を寄せ、私と第一王子が会話するのを聞いている。
「帰国の挨拶をしただけです」
「父上が挨拶のためだけに呼ぶわけがない」
多忙なアギラカリサ王にとって、朝の時間も貴重なものである。
毎日パーティーを開いているのは、楽しんでいるのではなく、一人ずつ会う手間を省くためだ。
朝の支度をしながらだったけど、私と一対一で話したのは、特別なことだったのだとわかる。
「レジェスは婚約者まで特別扱いか」
ライネリオは苛立っていた。
「父上はあいつにだけ王の名を与えた。俺たちのことなど、父上は最初から見ていない」
三人が悔しく思う気持ちは、私にだってわかる。
私はずっと二番目の姫で、優先されてきたのはセレステだったのだから。
最初のコメントを投稿しよう!