20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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 船はひとつだけでなく、一人一人の王子に用意されていた。  王子たちは船の上に用意されたお茶や食べ物を口にし、美しい女性とイチャイチャする。  私なんて必要ないように思えた。  ――私を船に乗せて、なにを考えてるの? 「父上となにを話した?」  一緒に船に乗っているのは、第一王子ライネリオ。  第二王子エミディオと第三王子バルデスは、そばに船を寄せ、私と第一王子が会話するのを聞いている。 「帰国の挨拶をしただけです」 「父上が挨拶のためだけに呼ぶわけがない」  多忙なアギラカリサ王にとって、朝の時間も貴重なものである。  毎日パーティーを開いているのは、楽しんでいるのではなく、一人ずつ会う手間を省くためだ。  朝の支度をしながらだったけど、私と一対一で話したのは、特別なことだったのだとわかる。 「レジェスは婚約者まで特別扱いか」  ライネリオは苛立っていた。 「父上はあいつにだけ(レジェス)の名を与えた。俺たちのことなど、父上は最初から見ていない」  三人が悔しく思う気持ちは、私にだってわかる。  私はずっと二番目の姫で、優先されてきたのはセレステだったのだから。
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