20 兄たちの卑怯な思惑(2)

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 どうやら、私を池の真ん中に放置するつもりらしい。  ――そんな!  普通の十二歳の子供なら、不安で泣いていたと思う。 「レジェスが気づき、迎えに来るまでそこにいろ」 「こんなくだらないことをして、満足ですか?」  ライネリオの手には船をこぐための(オール)があり、それがなくては、岸辺に戻れない。 「俺たちの計画を邪魔しておきながら、生きて帰れるとでも思ったか?」 「レジェス様なら気づいて、すぐに来てくれます」  レジェスなら私を見つけてくれる。  だから、私は慌てたりしないし、泣いたりしない。 「そうだ。レジェスを待て」 「そのほうが都合がいい」  大笑いして、私が乗った船から遠ざかっていく。 「早くレジェスが来ればいいのにな」 「まったくだ」  そんなことを言いながら、船を降りて楽しげに話しながら去っていった。  池の上に冷たい風が吹く。  船が揺れるけれど、天気はそこまで悪くない。  ――なんのために、私をここに置き去りにしたの?  まるで、私はレジェスをおびき寄せるための餌である。  これは罠だ。  でも、船は丈夫だし、池もそれほど大きくない。
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