1264人が本棚に入れています
本棚に追加
私が泳ぐには深すぎるだけで、他の船はちゃんと岸辺にある。
レジェスなら岸辺にある船を使って、私を簡単に助けるだろう。
――いったい、なにをたくらんでるの?
「ルナリア!」
レジェスの声が聞こえた。
どんな罠が仕掛けられているかわからず、こちらへ来るのを止めようと叫んだ。
「レジェス様! 一人で来てはいけません! これは罠です!」
すぐにレジェスは、私が池の真ん中に置き去りにされているのを見つけた。
「兄上か……!」
「ダメです! 船に乗らないでください!」
船に乗り、レジェスがこちらへ向かおうとしたのを止めた。
止めた私を黙らせるためか、どこからか、数本の矢が船に突き刺さった。
「なっ、なに? 矢……?」
なぜ、障害物のない池のど真ん中に置き去りにされたのか、突きささった矢で気づいた。
弓矢で殺しやすいように、隠れる場所のない池の真ん中を選んだのだ。
矢の的になっている私を助けるため、船を出すのを待っている。
私の元へ向かっている途中で、レジェスを殺すつもりなのだ。
――レジェスが船に乗らないのであれば、私が殺される。
最初のコメントを投稿しよう!