21 兄たちの卑怯な思惑(3)

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「レジェス様。これは罠です。私を助けないでください!」  私を助けにきたら、必ず命を落とす。  だから、私を助けに来てはいけない。  助けない選択肢が、レジェスの命を救う唯一の方法だった。 「そんなわけにいくか!」 「私はレジェス様に王になってほしいんです!」  こんな卑怯な真似をする王子たちが王になれば、アギラカリサ王国の民は不幸になる。  この国の民だけじゃない。  オルテンシア王国もマーレア諸島の人々もひどい目にあう! 「俺の妃なると、父上と約束したくせに死ぬつもりか?」 「えっ!? ど、どうしてそれを!?」 「誰を妃にしたいか、父上に問われた。俺はルナリアを妃にしたいと答えたぞ」  私が国王陛下に謁見する前に、レジェスが先に話をしていたのだ。 「レジェス様……」  船の(ふち)をぎゅっとつかんで、矢に当たらぬよう身を低くした。  せめてもの抵抗だ。  二番目の姫だから、誰からも愛されないと思っていた。  レジェスが妃に望んでくれたと知って、とても嬉しかった。  ――私、少しは運命を変えられたよね?  今まで頑張ってきてよかったと思えた。
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