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「レジェス様。これは罠です。私を助けないでください!」
私を助けにきたら、必ず命を落とす。
だから、私を助けに来てはいけない。
助けない選択肢が、レジェスの命を救う唯一の方法だった。
「そんなわけにいくか!」
「私はレジェス様に王になってほしいんです!」
こんな卑怯な真似をする王子たちが王になれば、アギラカリサ王国の民は不幸になる。
この国の民だけじゃない。
オルテンシア王国もマーレア諸島の人々もひどい目にあう!
「俺の妃なると、父上と約束したくせに死ぬつもりか?」
「えっ!? ど、どうしてそれを!?」
「誰を妃にしたいか、父上に問われた。俺はルナリアを妃にしたいと答えたぞ」
私が国王陛下に謁見する前に、レジェスが先に話をしていたのだ。
「レジェス様……」
船の縁をぎゅっとつかんで、矢に当たらぬよう身を低くした。
せめてもの抵抗だ。
二番目の姫だから、誰からも愛されないと思っていた。
レジェスが妃に望んでくれたと知って、とても嬉しかった。
――私、少しは運命を変えられたよね?
今まで頑張ってきてよかったと思えた。
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