1323人が本棚に入れています
本棚に追加
「その言葉だけでじゅうぶんです。人を呼んできてください。レジェス様が敵を倒すまで、私はこうして身を守ってますから、大丈夫です!」
それでは私が助からないとわかったレジェスは、船に足をかけ、こちらへ来ようとしていた。
「レジェス様! ダメです!」
紫色の瞳が怒りで燃えている。
「ふざけるな。十二歳の少女一人助けられず、王になどなれるか!」
レジェスが私のところへ向かったからか、私のところへ矢が飛んでくることはなくなった。
でも、それと同時に狙いはレジェスに変わり、向こう側に矢が放たれるのがわかった。
ここで死ぬはずのないレジェス。
私がストーリーを変えたから、こんなことになっているのだ。
四年後、セレステが婚約者になっていたら、レジェスは死ぬことはなかった。
――私が死んでもレジェスだけは助けたい!
そう思った瞬間、私を中心に黒い霧が生まれた。
「え? 黒い霧?」
黒い霧は辺りを覆うようにして広がり、夜と同じ暗闇を作り出す。
闇は私とレジェスの姿を隠した。
標的が闇の中に隠れ、見えなくなったため、攻撃の手が止まった。
最初のコメントを投稿しよう!