21 兄たちの卑怯な思惑(3)

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「その言葉だけでじゅうぶんです。人を呼んできてください。レジェス様が敵を倒すまで、私はこうして身を守ってますから、大丈夫です!」    それでは私が助からないとわかったレジェスは、船に足をかけ、こちらへ来ようとしていた。 「レジェス様! ダメです!」  紫色の瞳が怒りで燃えている。 「ふざけるな。十二歳の少女一人助けられず、王になどなれるか!」  レジェスが私のところへ向かったからか、私のところへ矢が飛んでくることはなくなった。  でも、それと同時に狙いはレジェスに変わり、向こう側に矢が放たれるのがわかった。  ここで死ぬはずのないレジェス。  私がストーリーを変えたから、こんなことになっているのだ。  四年後、セレステが婚約者になっていたら、レジェスは死ぬことはなかった。   ――私が死んでもレジェスだけは助けたい!  そう思った瞬間、私を中心に黒い霧が生まれた。 「え? 黒い霧?」  黒い霧は辺りを覆うようにして広がり、夜と同じ暗闇を作り出す。  闇は私とレジェスの姿を隠した。   標的が闇の中に隠れ、見えなくなったため、攻撃の手が止まった。
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