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「これは闇の巫女の力……?」
――こんなことって……。私が闇を生み出す力に目覚めるのは十六歳のはず。
闇は日差しを遮り、私の周囲は真っ暗だった。
「ルナリア、怪我はないか?」
闇の中でも視力を失わないレジェスは、私が乗っていた船まで辿り着くと、自分の船に乗せた。
「わ、私……」
「どうした? 怖かったのか?」
私は闇の力に目覚めてしまった。
レジェスだけでなく、暗殺者たちに闇を生み出す姿を見られてしまい、隠すのは不可能。
忌み嫌われる闇の力を知られてしまった。
――物語と同じように牢屋に放り込まれて、私は死ぬの?
怖くてレジェスの顔を見れなかった。
レジェスはきっと私を嫌う。
嫌うのはレジェスだけじゃない。
シモン先生もティアも、みんな私を怖がって忌み嫌われる。
「ご、ごめんなさい。私、闇の力を使うつもりはなかったんです」
無害だと思ってもらわなくては、きっと私は殺される。
「これがオルテンシア王国に伝わる闇の巫女の力か」
「忌まわしい力ですが、誰にも危害を加えたりしません。だから……」
レジェスが私の頬を両手で包み込む。
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