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「落ち着け。なにを言ってる。これは俺を救った闇だ。お前の力は俺を救える」
「レジェス様を救える……?」
「そうだ。お前なら見えるだろう? 見てるといい」
矢筒から矢を取りだし、弓矢を構えたレジェスは、森の中の時と同じように暗殺者に向けて矢を射る。
悲鳴と混乱の声が響く。
すべての暗殺者が倒れた時、闇は消え、池の上に私とレジェス様だけが残った。
「これで、俺以外は誰も知らない。巫女の力を知られなくないのだろう?」
「はい……」
「そうか。だから、ルナリアはアギラカリサの巫女に会いたかったんだな」
アギラカリサ王宮にいるという力を封じるという巫女。
その巫女に力を封じてもらえたら、私は死なずに済むはずだった。
レジェスが優しく私の頭をなでた。
「その力は大事な力だ。封じる必要はない」
「でも、暴走してしまったら……!」
「俺がルナリアを止めてやる。俺は闇の中でもお前が見えるんだぞ?」
すでに闇は晴れ、清々しい青い空が頭上に広がっていた。
その空を仰ぐ姿は王そのもの。
「レジェス! こんなところにいたのか!」
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