21 兄たちの卑怯な思惑(3)

5/10
前へ
/314ページ
次へ
「落ち着け。なにを言ってる。これは俺を救った闇だ。お前の力は俺を救える」 「レジェス様を救える……?」 「そうだ。お前なら見えるだろう? 見てるといい」  矢筒から矢を取りだし、弓矢を構えたレジェスは、森の中の時と同じように暗殺者に向けて矢を射る。  悲鳴と混乱の声が響く。  すべての暗殺者が倒れた時、闇は消え、池の上に私とレジェス様だけが残った。 「これで、俺以外は誰も知らない。巫女の力を知られなくないのだろう?」 「はい……」 「そうか。だから、ルナリアはアギラカリサの巫女に会いたかったんだな」  アギラカリサ王宮にいるという力を封じるという巫女。  その巫女に力を封じてもらえたら、私は死なずに済むはずだった。  レジェスが優しく私の頭をなでた。 「その力は大事な力だ。封じる必要はない」 「でも、暴走してしまったら……!」 「俺がルナリアを止めてやる。俺は闇の中でもお前が見えるんだぞ?」  すでに闇は晴れ、清々しい青い空が頭上に広がっていた。  その空を仰ぐ姿は(レジェス)そのもの。 「レジェス! こんなところにいたのか!」
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1396人が本棚に入れています
本棚に追加