3 裏の顔(1)

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 セレステは白い陶器のような肌に薔薇色の頬、目がぱっちりしていてお人形のように可愛らしい。  ピンク色のドレスには、フリルとレースの飾りが多く、とても豪華だ。    ――物語の設定上、ルナリアが二番目なのはわかるけど、ここまで差をつける?  運命に一番を約束されたセレステだけあって、なにもかもが私より上。 「セレステ様。ルナリアの勉強をみていたのですよ」  私がルナリアで、セレステはセレステ『様』。  フリアンは私には妹のように気安い態度で接していたのに、ずいぶん違う。 「そう。私は音楽の先生が来ていたの。お待たせしてしまって、ごめんなさいね」 「セレステ様、大変ですね。休まれていますか?」 「大変だけど、お父様とお母様の期待を裏切りたくないから頑張るわ」 「無理するなよ」  フリアンとレジェスは、セレステをねぎらい優しい言葉をかける。  私はその様子を冷静に観察していた。  ――これが二番目の姫効果。セレステがいると優先されるのはセレステなのね。 「私もルナリアのように自由でいたいわ」  セレステは大きな目を潤ませ、私を見る。
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