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「フリアンか。お前はルナリアを探す天才だな」
「なに言ってるんだ。もう出発だっていうのに、ルナリアと船に乗って遊んでいる場合じゃないだろう?」
フリアンも探していたようで、私とレジェスを見つけ、岸辺から呼んでいる。
「あの、レジェス様……」
「わかっている。俺は誰にも言わない。お前が俺の瞳のことを黙っているように、お互い秘密にしよう」
「ありがとうございます……」
レジェスは私の涙をぬぐった。
涙をぬぐわれるまで、私は自分が泣いていたことにも気づかなかった。
「ルナリアはずっと闇の巫女になるのを恐れていたんだな」
「はい……」
本当は違うけど、おおまかにはそういうことだ。
闇の力さえ暴走しなければ、私は死なずに済むのだから。
船を戻し、フリアンと合流する。
「俺は遊んでいない」
「そうみたいだね……」
フリアンは草むらに倒れる暗殺者を目にし、苦笑した。
「レジェスは恨みを買いすぎだ。ルナリアを巻き込んでもらっては困る」
「悪い。だが、ちゃんと守ったぞ」
「当たり前だ。だいたい君は……!」
近くで草むらを誰かが這う音がし、フリアンが言葉を止めた。
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