21 兄たちの卑怯な思惑(3)

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 まだ生きている暗殺者がいたようで、フリアンが剣を抜いた。  レジェスはフリアンを手で制す。 「待て。フリアン。とどめを刺す必要はない」  もうほとんど息がなく、大量の血を流し、助からないとわかる。  暗殺者は最後の力を振り絞り、言葉を発した。   「セレステ様……申し訳ありませ……」  死に際に口にした名はセレステの名前と謝罪だった。   「フリアン。今、セレステと言ったのを聞いたか?」 「あ、ああ……。聞いた」  私の聞き間違えではなかった。  フリアンもレジェスも同じように聞こえていたのだ。  死体から覆面をはぎとり、フリアンは顔を確認する。 「男爵家の息子だ。セレステ様に好意を持ち、付きまとっていたな」 「兄上たちが暗殺者を集めた時、紛れ込んだのだろう。身元を調べず、手当たり次第に雇っているのを考えたら、兄上たちは手駒不足だな」  フリアンは混乱し、青ざめた顔で言った。 「セレステ様はなぜこんなことを……」 「わからないか? 俺はわかる。兄上から命を狙われていたからな」 「セレステ様がアギラカリサの王子と同じ!? そんなわけが……!」
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