21 兄たちの卑怯な思惑(3)

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「マーレア諸島との外交をルナリアが成功させれば、自分の立場が危うくなる」  ――私が邪魔だったんだわ。  水路に突き落とされた時と同じ。  セレステには私への殺意がある。  フリアンはショックだったようで、ぐしゃりと前髪を潰した。 「嫉妬したとしても、ルナリアの命を狙うなんて……」  フリアンのセレステへの失望が感じられた。 「こいつを証拠に連れて戻ったとしても、知らない、勝手にやったと言われたらそれまでだ」  ――死人に口なし。  セレステがレジェスの強さをわかっているなら、命を落とす可能性も考えていたはずだ。  自分を盲目的に愛する男爵家の息子をそそのかし、私だけをうまく殺そうとした。  私が闇の力に目覚めなかったら、死んでいたと思う。 「お父様もお母様もセレステを一番に考えてます。善良なセレステが、私を殺そうとするわけないと言うでしょう」 「たとえ、僕がオルテンシア王国に戻り、証人になったとしても誰も信じないだろうね」  物語の強制力もあって、セレステの人気は高い。  一番を約束された王女セレステ。  私とは違う。  フリアンは悔しそうにうつむいた。
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