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「マーレア諸島との外交をルナリアが成功させれば、自分の立場が危うくなる」
――私が邪魔だったんだわ。
水路に突き落とされた時と同じ。
セレステには私への殺意がある。
フリアンはショックだったようで、ぐしゃりと前髪を潰した。
「嫉妬したとしても、ルナリアの命を狙うなんて……」
フリアンのセレステへの失望が感じられた。
「こいつを証拠に連れて戻ったとしても、知らない、勝手にやったと言われたらそれまでだ」
――死人に口なし。
セレステがレジェスの強さをわかっているなら、命を落とす可能性も考えていたはずだ。
自分を盲目的に愛する男爵家の息子をそそのかし、私だけをうまく殺そうとした。
私が闇の力に目覚めなかったら、死んでいたと思う。
「お父様もお母様もセレステを一番に考えてます。善良なセレステが、私を殺そうとするわけないと言うでしょう」
「たとえ、僕がオルテンシア王国に戻り、証人になったとしても誰も信じないだろうね」
物語の強制力もあって、セレステの人気は高い。
一番を約束された王女セレステ。
私とは違う。
フリアンは悔しそうにうつむいた。
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