3 裏の顔(1)

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 まるで、自分の存在を責められているような気がした。 「セレステ様……。辛いことがあれば、力になります。いつでも僕に相談してください」 「フリアン様。ありがとう」  イケメン王子と可憐な王女――背景には薔薇がバーンと咲いていて、花が舞っているような幻覚に襲われた。  ――小説『二番目の姫』の作者に言いたいわ。やりすぎなのよ! こんなの、すでに私の暗い未来(婚約破棄されてポイ捨て)が確定してるようなものじゃないの~!  ルナリアでなくとも絶望したくなる。  そう思っていると―― 「セレステ。ルナリアは賢いぞ。いずれ、このオルテンシア王国の女宰相になるかもな」  今まで少女漫画のように、セレステとフリアンが手を握り、お互いを見つめていた目が、私の方に向く。 「ルナリアが宰相?」 「そうだ」  レジェスは無邪気に笑う。    ――もしかして、私とセレステが手を取り合いオルテンシア王国を治めるエンディングもアリ!?  絶望からの希望よ、こんにちは。 『姉妹仲良く国を治めました』そんな未来も悪くない。  ドキドキしながら、セレステからの言葉を待った。
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