3 裏の顔(1)

4/10
前へ
/314ページ
次へ
「ルナリアは本を読むだけで、レジェス様に褒めてもらえてよかったわね」 「う、うん……」  ――あ、あれ? なんだかトゲトゲしい……?  私に向けるセレステの目がどことなく冷たく見えた。  でも、きっと私の気のせいよね?  だって、セレステは優しくて美しい一番目の王女だし、誰からも愛されていて、二番目の私のことなんて気にする必要なんてない。   「レジェス様、フリアン様。庭の薔薇がとても綺麗なの。私とお散歩しませんか?」 「もちろん、ご一緒します」 「薔薇か」  フリアンは爽やかな笑みを浮かべ、レジェスのほうは面倒そうな顔をした。  レジェスは乗り気ではなさそうだ。  小説『二番目の姫』の舞台は小国オルテンシアである。  やがて、セレステの婚約者になるレジェスだけど、大国アギラカリサの王子であるレジェスの立場は作中でも強かった。  大国アギラカリサと婚姻関係を結びたい国は多い。  頻繁にレジェスが招待され、もてなされているのは、年の近いセレステを気に入ってもらおうという小国オルテンシア側の作戦だ。  小説『二番目の姫』がストーリーどおり進んだなら、レジェスとセレステは婚約する。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1016人が本棚に入れています
本棚に追加