3 裏の顔(1)

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「ルナリア、お勉強するから、またね~!」  ――回避である。  五歳児らしく、セレステたちにバイバーイと笑って手を振った。   「ど、どうしたのかしら? いつもなら、私も行くと言って暴れるルナリア様が!」 「ちょっと勉強を始めたわよ!?」 「大変! 洗濯係に雨が降るって伝えてこなきゃ!」  いつもと違う私の行動に侍女たちがざわめく。    ――はあ……勉強しよ。自分の行動ひとつで死ぬとわかったら必死にもなるわ。 「ルナリア、本当に私たちと外へ行かないの?」  セレステが戸惑いの表情を浮かべていた。 「うん! ここでお勉強してる!」  「セレステ様。ルナリア様はお勉強の時間ですので、ご遠慮させていただきますわ」  乳母は私の様子を見て、乳母からもセレステにお断りしてくれた。 「そんな……。私はルナリアともっと仲良くしたいと思っているのよ。妹と遊ぶ時間もないなんて悲しいわ」 「え……仲良く……?」 「ね、ルナリア。一緒に庭へ行きましょうよ」  セレステは私を誘う。 「ルナリア。休憩も大事だよ。レジェスも国へ帰る日が近いし、今は庭を散歩したらいいんじゃないかな」
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