26 駆け落ち!?

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 フリアンは逃がしてやりたいと想っているようだ。  それは私も同じ。 「巻き込んで悪いな。だが、どこにいても同じだ。すぐに追手がくる」    ルオンは愛おしげにスサナと寄り添い、微笑む。  死ぬかもしれないのに、二人はとても幸せそうだった。 「追手はレジェス。アギラカリサ王の命令を受け、俺を殺すだろう」 「レジェス様が!?」  ルオンがオルテンシア王国へ逃げれば、時間稼ぎができると考えたのは、追手がレジェスだとわかっていたから。  私がいる場所で、レジェスは残酷な判断をしないと思ったのだろうか。  ルオンたちは逃げられないとわかっている。  けれど、少しの時間であっても、二人でいたいと思ったから、ここを選んだ…… 「俺を殺し、レジェスは王になるだろう。アギラカリサ王がレジェスに足りないと思っているのは、王に必要な非情さだからだ」  友人であるルオンを殺せるかどうか。  それをアギラカリサ王は見極めるために、レジェスにルオンの追跡を命じる。  ルオンは他の誰でもないレジェスになら、殺されていいと思っている。  でも私は―― 「レジェス様にそんなことをさせたくありません」 『では、どうする?』  レジェスの声がどこからか、聞こえた気がした。  きっと命令を受けて、レジェスは苦しんでいる。   「うまくいけば、ルオン様とスサナ様を救えるかもしれません」  私の言葉に全員が注目した。
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