27 ルナリアの弱み ※セレステ

2/11
前へ
/314ページ
次へ
 ――ルナリアのせい。すべてルナリアのせいなのよ!    私を苦しめる二番目の姫。  どれだけ私から、称賛と好意、周囲の人間を奪うの?  ルナリアがいなければ、すべて私のものだった!  「セレステを女王にするのが、わたくしの夢だったのに……」  そう言って、お母様は私に失望し、寝込んでいるけど、それは今だけ。  私はレジェス様の妃となって、アギラカリサの王妃になるの。  そうすれば、誰も私を殺せないわ。  ――どれだけ有能な宰相であってもね。    あの日から、私のことをシモンがずっとにらんでいる気がしてならない。  憎悪と殺意、敵意を感じる。 「早くアギラカリサ王国へ行ってしまいたいわ」  光の巫女の務めを果たし、王宮へ戻ってくると、ちょうど王宮前に向かうお父様とシモンに出会った。  ――会いたくなかったわ。  シモンは表情を変えず、お父様とともに私の横を素通りしていった。  お父様から声をかけられることもなく、シモンから挨拶もなかった。  こんな扱いは初めてだった。 「どういうこと?」  振り返り、お父様に私から声をかける。 「お父様!」
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

919人が本棚に入れています
本棚に追加