27 ルナリアの弱み ※セレステ

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「うん? ああ、セレステ。セレステか……」  なにがあったのか、ひどく焦燥している。  シモンのほうも厳しい顔つきだった。  ――なにがあったの?  王宮前が騒がしい。  侍女たちのはしゃぐ声が、ここまで聞こえてきた。 「ルナリア様がマーレア諸島のルオン様をお連れしたそうよ!」 「ルオン様って、すっごくお金持ちでエキゾチックなイケメンだって聞いてるわ。みたーい!」 「はしたないわよ!」  若い侍女を叱る声と客間の準備に追われる者たちで、王宮内の慌ただしさが増した。 「ルナリアから事前に連絡があったが、ルオン殿とともにアギラカリサの巫女が来た」 「巫女ですって!?」  お父様が動揺するのも無理はない。  光の巫女の私と違って、アギラカリサの巫女は王宮から出ることを許されない。  異民族の力を封じる役目を担うアギラカリサの巫女は、命を狙われる可能性が高く、その身を守るため、アギラカリサ王の監視下に置かれ、王宮の奥に閉じ込められている。   「ルオン様がさらってきたの?」 「うむ……。外交問題になるだろう」
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