27 ルナリアの弱み ※セレステ

4/11
前へ
/314ページ
次へ
「アギラカリサにルオン様を引き渡せば、マーレア諸島との関係が悪くなるでしょうし、ルオン様を逃がせば、アギラカリサ王から咎められるでしょうね」  シモンに言われ、お父様は額に手をあてた。 「困ったことになった。どうしたらよいのだ……」  小国のオルテンシア王国にとって、どちらも敵に回せない。  ――オルテンシア王国のことなんて、私には関係ないわ。私はレジェス様に嫁ぐんだから!  二人がアギラカリサ側の追手に捕まるまで、放って置けばよかったのに、ルナリアはなにを考えているのかしら。  なぜ、王宮まで連れてきたのかわからない。 「陛下。ルナリア様には考えがあると思います。悩まれるのは、話を聞いてからでよろしいでしょう」 「そ、そうだな。たしかにそうだ! シモン、お前は頼りになる……」  そのシモンが頼りにし、信頼しているのはルナリア。  お父様とシモンは、私と話している場合ではないというように、背を向けた。  成り行きが気になり、私も二人の後を追った。    ――ルナリアがシモンの信頼を裏切るところを見てやるのよ。  どうせ、シモンはああ言ったけど、解決策なんてないのだから。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

906人が本棚に入れています
本棚に追加