27 ルナリアの弱み ※セレステ

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「む、むう。フリアンよ。ルナリアに任せてよいのか?」  お父様はルナリアのそばにいるフリアン様に尋ねた。  フリアン様はどこか元気がなく、目を伏せてうなずいた。 「……その方法しかないかと」 「ふむ。ならば、ルナリアに任せよう」  シモンはルナリアを信用しているからか、なにも聞かなかった。  ルナリアよりフリアン様を待っていたのか、なにか二人で話している。  あの二人は、ルオン様たちのことではなく、今回の視察結果について話していた。  港に魚の加工場がいるとか、輸送手段として保存をどうするとか――そんなのどうでもいいわ。  私が知りたいのは、今後の産業じゃなくて、ルナリアがなにをするかだけ。  少し探りをいれてみる。 「ルナリア。とんでもないことをしたわね」 「なにがですか?」 「なにがって、アギラカリサの巫女は王宮から出てはいけないのよ?」 「知っています。ティア。ルオン様とスサナ様を部屋へお連れして。それから、食事と着替えを!」  ルナリアは厄介者たちをもてなすつもりでいる。  
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