27 ルナリアの弱み ※セレステ

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 ――フリアン様が私に注意した?  王女であり、光の巫女である私に対し、敬意をまったく感じられなかった。  怒りで手が震えた。  王位継承権を放棄したせいか、フリアン様はますます冷たくなった気がする。  私を軽んじた態度を改めさせようと、フリアン様に詰め寄った瞬間、馬の足音が近づいてくるのがわかった。 「ああ、レジェスがきたか」  ルオン様は王宮の中へ向かわず、足を止め、自分を殺すであろう友人を向かえた。 「レジェス。思ったより遅かったな。少しでも俺がスサナといられるように時間を引き延ばしたのは、お前の優しさか?」  黒髪に紫色の瞳をしたアギラカリサの末の王子。  いつもなら、明るい笑みを浮かべて登場するレジェス様。  今日は笑っていなかった。 「ルオン……。なぜ、相談しなかった」 「相談したところで、アギラカリサの巫女を俺の妻にはできなかっただろう? お前はまだ王子だ。王ではない」  レジェス様がアギラカリサ王の命令によって、ルオン様とスサナ様を捕まえにきたのだとわかった。  ――ルナリアはどうするつもりかしら?  
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