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レジェス様は今まで見せたことのない苦渋の表情を浮かべた。
「ルオン! 軽率な真似を……!」
「もう待てなかったのだ。俺が族長になれば、父は大勢の妻を俺にあてがう。俺の妻はスサナだけと決めている。だから、迎えに行ったのだ」
馬を預けたレジェス様が、髪をかきむしり、イライラしていた。
なんとか友人を助けたいという気持ちが伝わってくる。
「レジェス様。こちらへ。私の話を聞いてから、これからどうするか決めていただけますか?」
「……わかった」
レジェス様は私には目もくれず、ルナリアとともに王宮の中へ消えていく。
――私がレジェス様の妻になるのよ! ルナリアなんかに奪わせてなるものですか!
二人の後を追いかけ、姿を探す。
レジェス様とルナリアが庭園の一角に座り、なにか話している。
「遠くて声が聞こえないわ」
草の上に座り、二人はまるで恋人同士のように見つめ合う。
そして、なにをするのかと思ったら、レジェス様はルナリアの膝の上に頭をのせた。
「な……なにをしてるの。やっぱり色仕掛けをしてるのね。ルナリアは嘘つきだわ!」
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