28  物語を越えて

3/10
前へ
/314ページ
次へ
 助けを得られない私が、レジェスにどれだけ救われていたかわからない。  ――今度こそ、私はあなたの支えになりたい。  四年前、選べなかった道を今なら選べるはずだ。 「レジェス様が私の前をいつも歩いてますから、追いつくために私は必死でした。今もまだ遠い存在です」  風で流れた私の髪をつかんで、レジェスが微笑んだ。 「俺はお前のすぐそばにいる」 「……はい」  レジェスは私の髪を手から離して自由にすると、草の上にレジェスは座り、私にも座るよう手招きする。 「ここで休まれるのですか? お部屋で休まれたほうが、よろしいのでは?」 「お前の未来について、どうするのか知りたい」  レジェスはすでに、セレステが王位継承権を放棄したと知っている。  アギラカリサ王の耳にも入っているはずだ。  でも、ルオンとスサナのほうが気になるのではと思い、首をかしげた。 「私の未来ですか? 私の未来より、まずは少し休まれたほうが……。あまり眠っていませんよね?」 「わかるのか」 「少し休んでください」 「……ああ」    隣に座った私とレジェスの距離は近い。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1360人が本棚に入れています
本棚に追加