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「俺はお前を連れていきたい。だが、俺は王になり、汚れていく自分をお前に見せたくない」
「アギラカリサ王はルオン様を殺せと命じたのですね」
「……そうだ」
アギラカリサ王は、レジェスにふたつの命令を出したのだとわかった。
ひとつは、ルオンたちを連れ戻し、処刑すること。
ひとつは、光の巫女であるセレステを妻にすること。
これが、レジェスに王位を譲る条件。
「レジェス様。私は十二歳の頃から、レジェス様を支え、助けられる人間になりたいと思っていました」
「ルナリア……」
「だから、私をレジェス様の臣下にしてください」
レジェスが顔を上げ、不満そうな顔をした。
――あ、あれ? 臣下はやっぱり図々しかった?
「臣下?」
「そ、そうですよね!? まずは見習いからっ……!」
「違う。そこは臣下じゃなくて妃だろう?」
「き、き、妃!?」
呆れた顔でレジェスは私を見る。
「お前が女王になりたいと望むのなら、連れていくのは無理だろうと思った。お前には国を統べる才能があるからだ」
私を認め、話を聞いてくれるレジェス。
レジェスがいなかったら、私はここまで努力できなかった。
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