28  物語を越えて

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「俺はお前を連れていきたい。だが、俺は王になり、汚れていく自分をお前に見せたくない」 「アギラカリサ王はルオン様を殺せと命じたのですね」 「……そうだ」  アギラカリサ王は、レジェスにふたつの命令を出したのだとわかった。  ひとつは、ルオンたちを連れ戻し、処刑すること。  ひとつは、光の巫女であるセレステを妻にすること。  これが、レジェスに王位を譲る条件。 「レジェス様。私は十二歳の頃から、レジェス様を支え、助けられる人間になりたいと思っていました」 「ルナリア……」 「だから、私をレジェス様の臣下にしてください」  レジェスが顔を上げ、不満そうな顔をした。  ――あ、あれ? 臣下はやっぱり図々しかった? 「臣下?」 「そ、そうですよね!? まずは見習いからっ……!」 「違う。そこは臣下じゃなくて妃だろう?」 「き、き、妃!?」  呆れた顔でレジェスは私を見る。 「お前が女王になりたいと望むのなら、連れていくのは無理だろうと思った。お前には国を統べる才能があるからだ」    私を認め、話を聞いてくれるレジェス。  レジェスがいなかったら、私はここまで努力できなかった。
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