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いつも背中を追って、目標にして追いつきたいと思う存在でいてくれた。
「でも、私の王はただ一人。あなただけです」
そうレジェスにはっきり言うと、笑って私を抱き締めた。
「ルナリア。俺の妃になれ! 俺のただ一人の妃だ」
この瞬間、なにかが変わった。
言葉にできないけれど、小説『二番目の姫』の強制力が、完全に消えた――
「……はい。私でいいのなら」
光の巫女でない私を選んでくれたレジェス。
物語を左右することができるのは、この世界の王だけ。
昔と同じように私を抱き上げたレジェスが、下から見上げて言った。
「重くなったな」
「あ、当たり前です! 降ろしてくださいっ!」
「子供扱いしているわけじゃないぞ?」
私が言ったことを覚えているようで、それもちょっと恥ずかしかった。
「わかってます……。でも、降ろしてください。レジェス様に大切な相談があります」
「ん? なんだ?」
「これからの話です」
レジェスは私を地上に降ろすと、真面目な顔をした。
「スサナ様に代わり、私がアギラカリサの巫女になります」
「巫女――そういうことか」
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